後半の終盤、久しぶりにカシマスタジアムが揺れていた。サポーターの声援はここで絶対点を取るんだと選手達の背中を押し、選手達も攻め続けた。
前半の拮抗した展開とは大いに異なり、チャヴィリッチやユウマもゴール前で体を張り、少しのスキも見逃さない集中力で戦い、ゴールポストをこじ開けるはもう少しだ、という雰囲気を見せ続けた。
そして後半の40分。セットプレーからの跳ね返りを回収し、左サイドからクロスを上げたのは安西だっただろうか。少しファー側に残っていたイクマの頭にドンピシャリ。過去に何度か見たシーンと重なるイクマの折り返し。
これに反応したのがゴール前中央付近に入ってきた濃野。ガツンとおでこで押し込んだボールは196cmのGKの両手の間を抜ける至近距離からの一発。ネットを揺らした後の濃野の顔は多分、自分自身も経験の無い高まりだったのではなだろうか。
満面の笑みとガッツポーズ。そして沸き立つサポーター席に向かって胸を叩く。
サポーターと選手が一体になった・・・過去に幾度となく見て来たそんな場面が見られたのだ。
今日の濃野はその他にも右サイドから絞り込んできてこぼれ球をダイレクトでシュートしてクロスバーに当てたり、ゴールラインの奥深くまで侵入してクロスを上げたり攻撃型サイドバックという強みを遺憾なく発揮していた。
今までの試合では守備の面で課題を感じていたが、今日は良さばかりが出た試合に思った。濃野だけではなく、ボランチの佐野は勿論のこと、知念も徐々に慣れて来て随所に積極的なプレーが見られていた。
そういえば、濃野の勝利インタビューでゴール前の時間帯で知念に「点を取るしかないんだからドンドン行け」と云われたというのがあった。このことも勇気を与え、推進力になったようだ。濃野は勿論良かったがチーム全体が良くなっているとも感じた試合でした。
鹿島の右サイドバックは偉大な選手がいっぱいいる。解説者が言っていたが、確かにそうではあるが、これほどゴールを期待させる選手はそうはいないのでないか、と思ったものです。
試合の終盤、チャヴリッチが立ち上がれなくなるほど疲弊していましたが、ポポヴィッチ監督によると、それほどサポーターの声援に背中を押され力を出し切ったのではないかとのこと。攻守に走りまわり、素晴らしいシュートも見せてくれたチャヴィッチはやはり欠かせないと印象付けられたものでした。