
いくつかのチャンスはあったが、ゴールに至らず前半も40分を過ぎた時間帯、ユウマは相手DF陣が見せた一瞬のスキに猛チャージしてボールを奪取。荒木にボールを渡して自らはゴールライン近くに駆け上がった。
それを視野に入れた荒木はラストパスのつもりでユウマに出したが、ユウマがそれをまた荒木に戻した時、荒木は感謝の気持ちを右足に込め、振り切った。相手DFにデフレクションしながらもボールはGKが反応しきれないスピードですり抜け、ネットを揺らした。
そのゴールを見て、ゴールラインの外まで出て、大きく両腕を広げて大きな笑顔で待つユウマ。そしてその懐にジャンプして飛び込んだ荒木。高らかに吼えるユウマの頬に頬を合わせ荒木は何を思っただろう。
アシストはしていても我が鹿島アントラーズに復帰後ノーゴールだった荒木。その荒木になんとかゴールの喜びを体現して欲しい。ユウマのその気持ちが凝集したプレーであり、シーンであった。俺は勝手にそう思った。
試合終了後のインタビューでインタビュアーが「あのシーンを振り返ってください」と云ったとき、荒木は「ユウマくんに出したんだけど、また戻ってきたので思いっきり蹴った」と云った。ユウマの気持ちをしっかり受け止めた一蹴りであり、抱擁だったのだろう。いいアニキだ。

後半の初めに千葉に退場者が出て、更に優位にはなったものの千葉の個々の選手達は惜しむことなく激しく戦い続け、油断の出来ない展開だったが、終了間際に鹿島の守備からのカウンターが決まった。
濃野は最後尾のラインで、こぼれて来たボールをダイレクトで大きく前線にフィードし、これをユウマが相手DFと交錯している間に、師岡がボールを押さえ、そのまま直進しつつ渾身のシュート。
相手GKの足に当たって、跳ね返って来たボールを師岡は相手DFを跳び越えて確保し、少しフェイントで目の前のDFとGKを交わして冷静にネットを揺らした。この一連のゴールシーンの中で、師岡は「自分で行く以外の選択肢はなかった」と試合後に述べた。そして「自分でも冷静であり、シュートのとき、時間が止まったように見えた」というような事を云った。

プロ野球の大打者でも、絶好調のとき「ボールが止まって見える」と云ったものだ。どういう精神状態なのだろう。集中し切っているという、ただそのことだけなのだろうか。経験してみたいものです。
ともあれ、残り1試合を残して東地区の優勝は決まった。次はプレーオフがある。西地区は混戦模様だが、強者が来て欲しい。東西優勝チームががっぷり組み、且つ、鹿島がねじ伏せる。もう一度、植田直通に「鹿島が一番だ!!」と吼えて欲しいものです。