日中戦争、太平洋戦争と戦線を拡大した日本が日本人だけで310万人もの死者をだして敗戦したのが昭和20年8月15日(米国を始めとした連合軍や、中国、韓国、北朝鮮、ロシアにとっては勝利の日)。
その3年後から5年半に渡って綴られた初代宮内庁長官の「拝謁記」をNHKが報道している。この拝謁記は、昭和天皇と拝謁した田島宮内庁長官が、天皇とのやりとりを事細かに記録したものだ(故田島長官は身辺整理の段階で焼却しようとしたが息子が止め、それを継承した孫が今回公開した)。
その内容は昨日NHKスペシャルで報道された。しかし・・・それだけでは終わらない。今日の夜7時のニュースでもその内容の一部を細かく報道しているのだ。
昨日のNHKスペシャルのポイントは戦争への後悔、反省をどうしても国民に伝えたい天皇と、それは政治的発言になり憲法違反になるのでしてはいけない事と諫める長官のやりとりに主眼があったように思っていた(吉田首相も天皇が反省や後悔を表明する文案の削除を要請したとのこと。これは天皇退位論に及ぶことを危惧したもの)。
しかし、今日の夜7時のNHKニュースでわざわざ取り上げて報道していたのは、天皇が憲法9条を改正し、再軍備をする必要があることを当時の吉田首相に伝えたいと考えていたこと。これも田島長官に諫められて、政治に口出しすることはもう出来ない立場であることを諭されたとのことだが、その内容が事細かに報道された。
ソ連(現在のロシアに相当)は信用出来ない国だ。日本が戦争を放棄したとしてもいつ攻めて来るか分からない。それなのに無防備で良いのか。憲法を改正し、再軍備するべきだと思う。吉田(首相)に言ってみることは可能か。などと話していたというのだ。
これは何であろう。昨日のNHK特集を見て政府がNHKに働きかけたのではないか?そう疑い始めたのはオレだけだろうか。戦争を反省する天皇よりも、憲法を改正し、再軍備を希望する昭和天皇を国民に知らせるべきだろう。
そう考えたのではないだろうか。夜、7時のNHKニュースの最後には、これからもこの「拝謁記」を報道して行くと付け加えられていた。憲法9条を改正し、再軍備をしたい人々にとっては何と力になる報道だろう(と、言っても昭和天皇が当時語った自衛のための軍備はもう十分されているのかも知れないが)。
政府のリーク情報を垂れ流すだけのNHKに変わったのは、夜7時のニュースのあとの7時半から30分報道された「クローズアップ現代」を夜10時からのNHKアナによる「クローズアップ現代プラス」に代えた頃からだろうか(ほとんど意味のない報道番組に成り下がった)。同時に深夜にやるニュース解説の「時論公論」も時間が短縮され内容の希薄なものになった。
ニュースだけでは真相が分からずモヤモヤ感の残る我々の心情を汲むように、ニュースの真相に切り込んでみせた三谷キャスター(女性)はいまどうしているのだろうか。菅官房長官にも切り込んで見せたが、そこを境にやらせ等のスキャンダルが吹聴され、番組編成を機に、この番組は殺された。
森友問題、加計問題、そして韓国への輸出管理強化など全てが政府の情報をそのまま流すだけのNHKに変わって久しいが、昭和天皇の「拝謁記」まで利用されようとしているのだろうか。選挙投票率の下降に見られるように政治に対して不感症になっている人々が増える中、為政者は着々と手を打っているということなのだろうか。
今日の夜7時のNHKニュースが何の意図もなく「拝謁記」の一部を紹介しただけである可能性はあるのだろうか。季節はようやく涼しくなりかけているが胡散臭そうな匂いが立ち込めています。ふぅ~、考え過ぎであって欲しいものです。