鹿島土手クラブ

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1.4 堕ちていく国、日本:驚きの五輪関連支出

 

週刊ポストの1月17日・24日号の記事にどんどん膨らむ五輪関連支出への疑問が出されていた。会計検査院が公表した下記の一部をとってもおかしいものがある。

特に目を引くのは経産省の「水素関連」 名前を変えてちりばめているが下記の表から抽出するとその総額は1,629億円に及ぶ。

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週刊ポスト2020年1月17・24日号から

1.クリーンエネルギー自動車導入事業費補助金   695億円

2.燃料電池自動車の普及促進に向けた

  水素ステーション整備事業補助金        256億円

3.燃料電池の利用拡大に向けたエネファーム

  導入支援事業費補助金             498億円

4.水素利用技術研究開発事業           180億円

                   合計  1,629億円

五輪との関連性はいずれも「暑さ対策・環境問題への配慮」だ。

何故か?というと、水素を原料とする燃料電池を使うことでCO2排出を少し下げられるからだ、という言い分。

 

燃料電池自動車はNHKなどがニュースで語る時に必ず「走行時は水より出さない究極のエコカー」という決まり文句で伝えられる経産省肝入りの新技術だ。

 

でも、問題は山積で日本以外(いや日本でもトヨタ以外)では誰も見向きもしない技術であり、未来はないと思われる(奇しくもトヨタ燃料電池車の名前はミライだが)。

 

だから、経済論理では普及は全く進まず補助金だらけにして何とか推し進めようという事だが、それでも普及しないから「五輪の暑さ対策」(風が吹けば桶屋が儲かる的な関連性の薄い論理だが)というお化粧をして予算化しているのだろう。

 

問題は、本当にエコ(CO2排出がゼロ)なのか?だ。コマーシャルで水素エネルギーだとか言って宣伝しているのはガス会社。どうしてガス会社が水素の宣伝をするかと云えばガス(LPGやLNG)から水素を作るからだ。

 

メタン(CH4)やエタン(C2H8)、プロパン(C3H12)を高温で水蒸気と共に熱して反応させCH4+2H2O=CO2+4H2というようにCO2(炭酸ガス)と水素(H2)を作る。C2H8も同じ。C2H8+4H2O=2CO2+8H2という訳だ。

 

この式から分かるように、この水素を作る段階でCO2が副生してしまうのだ。この反応は約850℃に熱せられたチューブの中で行われるが大量の燃料を必要とし、燃料の排ガスとしてもCO2を排出するから水素を作る段階で全くエコではない。だからメディアにニュースを読ませる時必ず「走行時は」という言葉を付けさせ(多分、経産省の指示だろう)、メディアは忠実にその文言通り放送している。

 

この水素製造時のCO2排出については、まずメディアにはほとんど出て来ない。マツコデラックスがトヨタの豊田社長と燃料電池車ミライに乗っていろいろ質問する場面があった。その時、マツコが原料の水素はどうやって作るのですか?と聞いたら豊田社長は水素は発酵でも出来るし、副生物として工場でも出来る。と言った。これは他の水素関連での専門家もほとんど同じことを言う。

 

しかし、それは論理的に可能であるが、企業の採算としては有り得ない。発酵で出来た水素でガソリンの代りになるほどの量が出来るか?コスト的に成り立つか?成り立たない。また、副生水素は既にほぼ全て活用されていて大量に余っているものなどない。安く大量に作るのは現状では石油の軽質分やLPG・LNGを分解して作るしかない。だからガスから水素を作れるガス会社(場合によっては石油会社)が「水素エネルギー」を宣伝しているのだ。

 

問題はまだまだある。燃料電池車は水素と酸素(空気)を車の中で反応させ、電気を作り電池に溜めて、その電気で走る電気自動車だ。通常のバッテリーで動く電気自動車と何が違うかといえば、電気自動車は駆動力となる電気を外から充電するが、燃料電池車は水素を水素ステーションから車に充填し、車の中で電気を作ること。

 

この為、燃料電池車は複雑で高価な装置を車の中に設置するためものすごく製造コストが高くなってしまっている。勿論、それでは売れないので高額の政府補助金を付けているが、それでもなお高く、売れていない。

 

売れない理由は他にもある。原料を車にチャージする水素ステーションがあまりにも少ないので、ちょっと遠出してしまうと燃料の補充が出来ないという不便さだ。水素ステーションの建設はガソリンステーションの10倍のコストがかかると言われ、これも補助金無しには成り立たない代物だ(だから今回五輪関連予算で計上されている)。

 

その上、水素は取り扱いが難しく(分子が小さく漏れやすいし、漏れても見えない)、超高圧か、超低温での取り扱いになり容器やパッキン類の材質も制限される。ましてや事故などで車の中の水素容器やその接続部が折損すると通常の事故とは異なる大爆発を起こす可能性さえある。

 

こういう物を何故天下のトヨタが拘り続け、経産省が税金をジャブジャブ使って後押しするのか。また石油会社やガス会社はそれに協力しようとするのか。ある石油会社の株主総会でその質問が出たが、技術系取締役の答えは「経産省が推進しているし、トヨタがやっているので・・・」との事だった。大企業の幹部が株主にこんな答えしか出来ない代物。

 

でも、まあトヨタはもうダメだろうと気づいている。電気自動車へ着々と軸足を移し、来る電気自動車時代に後れを取らないように準備をしているしたたかさがある。問題なのは経産省だ。一度乗りかかった船は下りられないということなのだろうか。

 

突き詰めればCO2排出量削減などには全く貢献せず、従って五輪の暑さ対策などとは無縁な事業に「五輪関連」として1,600億円強も押し込んでいるのだから空いた口がふさがらない。この金を有効に使えばどれだけ国民の為になるだろう。

 

日本の財政は借金だらけ、国家予算の内の大部分をこの借金の返済が占める。そしてその国家予算の使われ方は一事が万事、こんな感じ。経産省天下り先を太らせる数々の施策と税金の投入、さて一体どこまで堕ちていくのでしょうか。

 

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